「IPのつくりかたとひろげかた」書評|現役ゲームプランナーによるレビュー

「IPのつくりかたとひろげかた」の書評・感想について書いていきます。

この本は「IP」とは?という話題から、実際の作品例を交えながらIPの目指すべき形についての分析と解説をされている一冊です。

一介のクリエイターの立場ではなかなかIPの今後までを意識することはないかもしれませんが、将来的にプランナーからプロデューサーへのステップアップを目指す人は必読です。

SHIMA

当ブログでは現役ゲームプランナー、ディレクターの僕SHIMAがゲームプランナーを目指す人に役立つ情報を発信しています。

著者:イシイジロウさんの略歴
チュンソフト在籍時に「3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!」、「428~封鎖された渋谷で~」などヒット作の監督を務め、その後独立。
「文豪とアルケミスト」の世界観監修等、主にアドベンチャーゲームのジャンルに存在感が強く、最近では「アルティメット人狼」の主宰などリアルイベントでの活動も行われています。

目次

「IPのつくりかたとひろげかた」書評

「IPのつくりかたとひろげかた」ではIP、つまりキャラクターや作品が持つ包括的な価値をいかに戦略的に作り上げ、残していくかということについて解説されています。

映画作品を中心に多くの実作品を例としながら詳しく解説されているため、知っている作品の解説では理解が進みますし、見たことのない作品はこの本の解説と合わせて見ればより勉強になるでしょう。

プロデューサーを目指す人向け

まず、「IPのつくりかたとひろげかた」は一介のクリエイターに直接役に立つ本ではなく、より高い次元で作品に携わるプロデューサーや、将来的にプロデューサーになりたい人向けの内容になっています。

  • どんな作品を作るのか?
    (企画の初期段階)
  • できた作品をどう売るのか?
  • 売った作品をどう残すのか?

こういったことについて考える役職にとっては必読の一冊です。

SHIMA

今現在ディレクターを務める僕にはややレベルの高い内容でしたが、視野を大きく広げることができました。

IPの段階と、作品の企画考案要素の一致

作り手の1人として興味かったのが、企画考案段階で必要とされる要素と、「IPのつくりかたとひろげかた」で解説されているIPの段階が完全に一致していたことです。

共通する要素
  • ストーリー
  • キャラクター
  • 世界観

(参考)企画考案段階で必要とされる要素については「ゲームシナリオの書き方」の書評記事で解説しています。

1人の製作者の立場から、企画段階でIPの今後まで検討する必要はないと思いますが、こうしたIPについての知見を持っていると一つ判断材料が増えるのは間違いありません。

この意味ではIPについて早いうちから学んでおくのも良い勉強になります。

「IPのつくりかたとひろげかた」要約

ここからは「IPのつくりかたとひろげかた」の要約です。

本書は全6章で構成されているのですが、内容別に大きく3パートに分けて概要を解説していきます。

IPには3つの段階が存在する

まず、IPの目指すべき形として「属人性からの解放」が提示されます。

どういうことかというと、「そのクリエイター」や「そのキャラクター」を作品が離れても、IPとしての価値が存在できる形を目指すということです。

たとえば「仮面ライダー」や「プリキュア」シリーズを考えるとイメージしやすいかもしれません。

これを基本方針として、IPの価値には3段階があるとされています。

  1. ストーリーIP
  2. キャラクターIP
  3. 世界観IP
SHIMA

「ストーリーIP」はその作品単体で終わってしまいます。
そのためまずは「キャラクターIP」を目指し、最終的には「世界観IP」を目指すべきとされています。

実作品を用いたIPの解説

「IPのつくりかたとひろげかた」では映画作品を中心に、数多くの作品を用いてIPについて解説されています。

解説されている作品は下記の通り。

  • MCU作品(アイアンマン〜アベンジャーズ)
  • スター・トレックとスター・ウォーズの比較
  • 日本の作品(ガンダム、仮面ライダー、妖怪ウォッチ、少年ジャンプ、プリキュア)
  • 著者イシイジロウ氏が関わった作品(ボドゲ、モンストアニメ、文豪とアルケミストなど)

それぞれの解説の中で世界観IPとして成功している事例や、ストーリーIPで完結してしまった事例、キャラクターIPから世界観IPになりかけたものの失敗してしまった事例などを学ぶことができます。

IPの理想は法人化

最後に、IPの目指す最終形として法人化が理想であると語られます。

法人化の利点は次のようなものです。

  • 社内の各部門による分業体制で品質を担保し、次の2つの項目を実現できる
  • IPのブランドイメージを保ち続ける
  • キャラや世界観の新陳代謝を維持する

世界観IPまで至っても法人化まで進むIPは多くはありませんが、「株式会社ポケモン」や「ドラゴンボール」の事例などが紹介されています。

将来プロデューサーを目指したい人は「IPのつくりかたとひろげかた」を読むべし!

「IPのつくりかたとひろげかた」は次の条件に当てはまる人にお勧めの本です。

  • プロデューサーを目指す人
  • ゲームに関する広い視野を持ちたい人

正直、普通に1人のゲーム作成者として仕事をする上では、ここまでの戦略的な内容までは気にする必要はないでしょう。

ですが将来的には「ゲームのプロデューサー」を目指していきたいという方は読んでおいて損はありません。

作品やキャラクターを生み出す、その上流で考えられている戦略を学んでください。

書籍情報

【書籍名】IPのつくりかたとひろげかた
【著者名】イシイジロウ 著
【出版社】星海社
【出版日】2021年1月1日初版
【頁数】270頁
【目次】

第1章 「キャラクターIP」と「世界観IP」
第2章 マーベル・シネマティック・ユニバースの軌跡
第3章 「スター・トレック」と「スター・ウォーズ」
第4章 日本のIP
第5章 僕自身が携わってきたIP
第6章 IPの勝利

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次
閉じる