- ゲームのシナリオについて勉強したい
- でもどんな本を読めばいいのか分からない
現役でゲームプランナー、ディレクターとして働いているSHIMAが、そんな疑問にお答えします!
初心者におすすめの本から、より専門性の高い本まで、順番にその内容や特徴をご紹介していきます。

ゲームシナリオライターやプランナーを目指す方のお役に立てれば嬉しいです!
- ゲームシナリオの勉強に選ぶ本が分かる
- 学びたい内容に適した本が分かる
▼この記事で紹介する本▼
タイトル | ![]() ![]() ゲームシナリオの書き方 | ![]() ![]() 新版シナリオの基礎技術 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
専門知識 | (2 / 5.0) | (4 / 5.0) | (4 / 5.0) | (3 / 5.0) |
具体的なテクニック | (3 / 5.0) | (4 / 5.0) | (5 / 5.0) | (4 / 5.0) |
読みやすさ | (5 / 5.0) | (2 / 5.0) | (2 / 5.0) | (5 / 5.0) |
個別の特徴 | 全体をざっくり理解 | 今も読まれる古典 | RPGに特化 | 最新理論と未来のシナリオ |
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選定基準


これから紹介する本は、僕が考える「読むべき順番」で掲載しています。
言い換えれば前半が初心者向け、後半が上級者向けということになりますので、これから初めて勉強をする方であれば1冊目の本から読むのをおすすめします。
すでにある程度シナリオを書いたことがあるという方なら少し飛ばして2番目以降に紹介している本から、自分の勉強したい内容が書かれているものを選んでみてください。
シナリオの全体像をざっくり理解する
シナリオの骨組みである「構成」の理解を深める
専門的なテクニックを学び自分の引き出しを増やす
シナリオについての考え方を広げる
それぞれの本の解説では、次の共通の3項目+各本で独自に設定した1項目について、5点満点で点数付けしました。
- 専門知識
- 具体的なテクニック
- 読みやすさ
ゲームシナリオのおすすめ本その1 「ゲームシナリオの書き方」


1冊目に紹介する本は「ゲームシナリオの書き方」です。
ゲームシナリオの書き方について必要になる基本的な知識を1から10まで体系的に学ぶことができ、最初の1冊目に読む本として非常におすすめです。
⇒「ゲームシナリオの書き方」の詳しい書評記事も合わせて読んでみてください。
専門知識 :★★☆☆☆(2点)
具体的なテクニック:★★★☆☆(3点)
読みやすさ :★★★★★(5点)
初心者おすすめ度 :★★★★★(5点)
ゲームシナリオの基礎を体系的に学べる
「ゲームシナリオの書き方」の最大の特徴は基礎知識を1〜10まで学ぶことができる点にあります。
- 作品のテーマや世界観、キャラクター
- シナリオの構成(起承転結など)
- 実際のテキスト(セリフやシステムメッセージ)
上記の1〜3がシナリオを書くときに検討する順番になるんですが、これら3つともについて必要十分な基礎知識が解説されています。
また、本の構成もこの1〜3の順になっているので実際の作業通りの順番で学べる点も初心者におすすめできるポイントです。
最初にこれを読めば2冊目以降の理解が深まる
「ゲームシナリオの書き方」を最初の1冊におすすめしている理由として、これを読んでおくと他の専門性の高い本が理解しやすくなる点があります。
他の本だと上で書いた「①テーマ」しか載っていなかったり「②構成」しか載っていなかったりすることも多いんですが、それぞれの本が何について解説しているかは自分で判断する必要があります。
最初に「ゲームシナリオの書き方」を読んでおくとシナリオの全体像がイメージできるようになるため、次の本に進んだときにも知識を整理でき、理解しやすくなります。
知識ゼロでも読みやすくサクサク進める
もう一つ初心者におすすめポイントとして、シナリオについての知識が全くなくても読みやすいというのがあります。
イラストや具体例が多く、難しい話がないので「これってどういうこと・・・?」となることなく読み進められるはずです。
約300ページ近くあるので文量的には少ないわけではないんですが、サクサク読んでいけるのであまり気負わずに読めるのも初心者に嬉しい点と言えます。


ゲームシナリオのおすすめ本その 2 「新版シナリオの基礎技術」


「新版シナリオの基礎技術」はかなり古い本なんですが、今でも特にドラマや映画など映像系のシナリオ・脚本の教本として多くの人に読まれている本です。
シナリオの「構成」と「テキスト」についての解説が詳しく、かなり専門的な知識を身につけることができます。
⇒「新版シナリオの基礎技術」の詳しい書評記事も合わせて読んでみてください。
専門知識 :★★★★☆(4点)
具体的なテクニック:★★★★☆(4点)
読みやすさ :★★☆☆☆(2点)
信頼性 :★★★★☆(4点)
映画・ドラマシナリオの古典
「新版シナリオの基礎技術」は映画やドラマのシナリオ技法についての本で、書かれたのが1985年(初版は1968年)と非常に古い本です。
そのためシナリオ理論にやや古い内容も見られますが、今も多くのシナリオライターや脚本家に読まれている一冊です。
それだけ普遍的な「物語の面白さ」についての解説は充実しており、信頼性の高い内容になっています。
ただし映像作品のシナリオについての本なので、そのままゲームシナリオに活かせないところもあるため、1冊目にはゲームシナリオについての解説本を選んだほうがいいでしょう。
構成:起承転結を土台に、物語を動かす技法
シナリオの構成については、「起承転結」を基本として解説されています。
また、その土台の上で物語を展開させるテクニックとして「リトマス法」というものが紹介されています。
リトマス法
リトマス紙が液体の性質によって色を変えるように、登場人物に事件や出来事などの「きっかけ」を与えてそれに対して反応・行動させることで説明的にならず自然に物語を展開する技法
これらについて、かなりのページ数を割いて詳しく解説されているので、構成について深く学びたいという人には非常に役に立つ内容になっています。
テキスト:具体的な良いテキストと悪いテキスト
セリフや地の文のテキストについても具体例を交えながら詳しく解説されています。
それぞれ43の悪い例、31の良い例から解説されており、特に悪い例からは「自分がこういうテキストを書いていないか」と反芻をしながら読んで定期的に振り返ることで学習が深まります。


ゲームシナリオのおすすめ本その 3 「ゲームシナリオライターの仕事」


3冊目に紹介する本は「ゲームシナリオライターの仕事」です。
RPGのシナリオに特化した内容で、他の本には載っていないような細かい解説が多いため、RPGを作りたい方に特におすすめの一冊です。
⇒「ゲームシナリオライターの仕事」の詳しい書評記事も合わせて読んでみてください。
専門知識 :★★★★☆(4点)
具体的なテクニック:★★★★★(5点)
読みやすさ :★★☆☆☆(2点)
RPGに特化 :★★★★★(5点)
本の構成はやや分かりづらい
最初に1点注意として、「ゲームシナリオライターの仕事」は書いてある内容は役に立つものが多いものの、本の構成がややちぐはぐになっています。
そのため知識ゼロで読むと混乱してしまうおそれが。
ゲームのオープニングからエンディングを追う形で起承転結に沿って章立てされているんですが、そこに書かれている内容が起承転結と全然関係ないんですよね・・・
シナリオ作成の全体像を理解していれば「あ、これはここについて話しているんだな」と分かるようになるので、まずは基本を勉強してから読むことをおすすめします。
(この記事で紹介している順番に本を読んでいけば、問題なく理解できるようになります!)
RPGに特化
「ゲームシナリオライターの仕事」はRPGのシナリオについて、2つの作品を例として細かい解説がされています。
使用されている作品はかなり古い作品なんですがこの2つ。
- 天外魔境2:キャラクター重視
- ルナ2:シナリオ重視
それぞれ「キャラクターを活かすための作品」「シナリオを活かすための作品」となっており、2つのタイプが異なるシナリオについて細かく解説されているため広い視野でRPGシナリオを学ぶことができます。
他では解説されていないRPGシナリオならではの技法
上記の2つの作品を具体例として、RPGならではのシナリオにおけるテクニックが数多く解説されています。
例えば
- ゲームの主人公の特性と「マスコットキャラ」の便利さ
- ゲームシステムを絡めたシナリオのストーリーテリング
- 「フラグ」の有効活用
など。
他の本ではほとんど書かれていないようなかゆいところに手が届く内容になっているので、RPGのシナリオに興味があるなら読んでおきましょう。


ゲームシナリオのおすすめ本その 4 「ストーリーのつくりかたとひろげかた」


「ストーリーのつくりかたとひろげかた」は最新のハリウッド式シナリオ理論をゲームに絡めて解説されています。
また、未来のシナリオの形についても予測されており、シナリオについての考えを広げてくれる哲学書のような一面もあります。
ゲーム制作に携わる立場として非常に興味深い内容になっています。
⇒「ストーリーのつくりかたとひろげかた」の詳しい書評記事も合わせて読んでみてください。
専門知識 :★★★☆☆(3点)
具体的なテクニック:★★★★☆(4点)
読みやすさ :★★★★★(5点)
哲学的 :★★★★★(5点)
ノベルゲーム寄りのシナリオ解説
「ストーリーのつくりかたとひろげかた」著者のイシイジロウさんは「428」など人気の高いノベルゲームのシナリオを制作された方で、ゲームジャンルのシナリオ解説はノベルゲームが中心になっています。
プレイヤーの選択によるシナリオ分岐など、ノベルゲーム特有のフローチャートなども交えながら解説されているのでノベルゲーム制作に興味がある方は必読です。
また、ノベルゲームのノウハウは他のゲームジャンルにも活かせるので他ジャンルのシナリオを書く場合にも読んでおくべき内容です。
最新のシナリオ理論と具体例
シナリオ理論については世界でシナリオ研究が最も進んでいるハリウッドの最新理論が解説されています。
主な項目は次の2つ。
- 三幕構成・15のビート
- 感情曲線
どちらもシナリオの構成に関する内容ですが、「君の名は。」や「アイアンマン」など最近の作品を具体例として解説されているのでイメージしやすくなっています。
シナリオの哲学書
本の後半では人狼やリアル脱出ゲームなどを題材としてリアルタイムに紡がれるシナリオの可能性や、未来のシナリオの形についても触れられます。
普通のシナリオ本では出てこないような話題や考え方が多く、自分のシナリオについての考え方を広げてくれます。


全体の理解→個別に詳しくの流れで勉強しよう


以上、ゲームシナリオの勉強に役立つ本を4冊ご紹介してきました。
この順番で読んでいけば次のような流れで理解が進むので、頭の中で知識が整理されてすんなり理解できるようになります。
- シナリオ作成の全体作業をざっくり理解
- 個別の項目についてより深く理解
すでに知識がある方は、2冊目以降に紹介した本から、自分が深めたいところが載っているものを選んでみてください。
タイトル | ![]() ![]() ゲームシナリオの書き方 | ![]() ![]() 新版シナリオの基礎技術 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
専門知識 | (2 / 5.0) | (4 / 5.0) | (4 / 5.0) | (3 / 5.0) |
具体的なテクニック | (3 / 5.0) | (4 / 5.0) | (5 / 5.0) | (4 / 5.0) |
読みやすさ | (5 / 5.0) | (2 / 5.0) | (2 / 5.0) | (5 / 5.0) |
個別の特徴 | 全体をざっくり理解 | 今も読まれる古典 | RPGに特化 | 最新理論と未来のシナリオ |
詳しい解説 | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
ここでご紹介した本が、ゲームシナリオの勉強にお役に立てば幸いです!
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