「ゲームデザイン脳」書評丨現役ゲームプランナーによるレビュー

「ゲームデザイン脳」の書評・感想について書いていきます。

「ゲームデザイン脳」はゲームのアイディアや企画の考え方について学びたい人にぴったりの本です。

特に「ゲームアイディアの発想方法」や「システムでドラマを描く」という考え方は非常に勉強になりました。

ゲームプ

ランナー、ディレクターとして仕事をしている僕自身も、今後実際にこの考え方を使ってみたいと思える良書でした。

SHIMA

当ブログでは現役ゲームプランナー、ディレクターの僕SHIMAがゲームプランナーを目指す人に役立つ情報を発信しています。

著者:枡田省治さんの略歴
広告会社の立場からゲーム広告を担当したことがきっかけで、「桃太郎伝説」「桃太郎電鉄」の制作に携わることに。

その後はゲーム制作が本業となり「天外魔境2」、「俺の屍を越えてゆけ」、「リンダキューブ」、「勇者死す。」などの独自の世界観・システムで人気を博した作品を世に送り出し、多くのゲーム制作者に影響を与えました。

目次

「ゲームデザイン脳」書評

作者の枡田省治さんは「俺の屍を越えてゆけ」「天外魔境2」などの代表作があります。

圧倒的なオリジナリティでそれまでになかったジャンルを切り開き、多くのコアなファンを獲得した方です。

「ゲームデザイン脳」にはそのオリジナリティがどんな思考から生まれているのかが解説されており、その作品のファンはもちろん、作品を知らなくてもゲームプランナーの勉強をしたい人には非常に役立ちます。

読みやすさに隠された「仕掛け」

まずこの本を読み始めると感じるのが、全体的な「軽さ」です。

内容が薄いわけでは決してなく充実しているんですが、読書に慣れていない人でもすんなり読み進められるポップさに溢れています。

しかし、実はこの読みやすさの裏には伏線が隠されていました。

作者の枡田さんが本全体を通して仕込んだ仕掛けによって成り立っていたことに、最後まで読み進めることによって気付かされます。

SHIMA

ゲームをシステムで魅せる手法と同じことが本の構成に隠されており、見事に引っかかっていたことに気付いたときは驚きました!

大ヒット作における本物の発想・企画例が役に立つ

「ゲームデザイン脳」が他のノウハウ本と異なるところは、実際に作者が企画して世に送り出した大ヒット作が生まれるまでの思考過程を具体的に解説されていることです。

ゲーム制作の過程とその結果としての作品が具体的に示されており、その解説もされているので、理論と実例を同時に学ぶことができます。

そこに上記の読みやすい本の構成もあり、なかなかの情報量ですがすんなり頭に入ってきます。

SHIMA

「システムでドラマを作る」という発想が、なるほどな~と目からウロコでした。

また、3章の内容は全体的に1、2章と毛色が異なり、作者である枡田さん自身やその作品についての裏話的な話題が中心になりますが、作品のファンには嬉しい内容になっていると思います。

「ゲームデザイン脳」要約

「ゲームデザイン脳」は全3章で構成されています。

  1. 「発想」についての章
  2. 「企画」についての章「発想」についての章
  3. 作者のゲームについての考え方

1、2章はゲームプランナーとしての企画力に直結する知見に溢れた内容になっており、3章はどちらかというと「哲学」的な内容です。

ゲームにするアイディアを「発想」する

第1章では「俺の屍を越えてゆけ」「リンダキューブ」など、独自のアイディアを多く盛り込んで人気を博した作品の、そのアイディアをどう発想したのかについて語られています。

  • ひ孫の誕生に涙を流す祖母。この感動の正体は…?
  • レンタルビデオ屋の某コーナーの作品がいつも借りられている。このジャンルの魅力とは…?

など、日常に潜む「感情の揺さぶり」の源泉がゲームの発想に結びついています。

この日常に潜むアイディアの種に敏感に「気づく力」を身につける必要がありますが、そのためにこれだけはやっておくといいというトレーニングの方法についても紹介されていました。

僕自身もさっそく取り入れてトレーニングを実践しています。笑

ゲームを「企画」にする

第2章では1章で見つけたアイディアをゲームという形に落とし込む「企画」のやり方についての解説です。

全ての面白そうなアイディアがゲームになるわけではなりません。

ゲームというメディアの強みを活かしながら、予算や納期、さらには倫理観などの制約の中でゲームとしての説得力を持つ作品に仕上げる。

その過程について語られます。

  1. 発想
  2. 発想を活かすシステムの検討
  3. そのシステムを使用する辻褄の合う世界観の構築
  4. 世界観を説明ではなく感覚で理解できるキャラクターの誕生

枡田さんは基本的にはこの順番でゲームを制作すべきだとしています。

また、シナリオの捉え方についてもかなり独特で、「普通ならありえないことでも説得力を持たせるための方便」という逆転的な切り口で語られます。

僕自身は「作品はシナリオありき」的な考えが固定観念としてあったので、こうしたシナリオについての見方が存在することを知ったことは非常に有意義でした。

「システムで魅せる」ことに長けている枡田さんならではの視点だと思います。

作者のゲームについての考え方

第3章はノウハウ的な色の強かった1章、2章とは毛色が違い、作者自身やその作品であるゲームソフトによりスポットライトを当てた構成になっています。

分かりやすく言えばテレビ番組の「プロフェッショナル」みたいな感じです。

ゲームプランナーにとって直接的に役に立つ内容ではないかもしれませんが、秀でた製作者の考え方に触れておくのも一つの経験になるかと思います。

また、枡田さんのゲーム作品のファンであれば裏話的な内容が豊富なのでここはぜひ読んでおいてほしいところです。

ゲームのアイディアが浮かばないなら「ゲームデザイン脳」を読むべし!

下記に当てはまるなら、「ゲームデザイン脳」を読めば非常に勉強になります!

  • ゲームのアイディアを創造する方法を学びたい
  • アイディアをゲームとして形に昇華する方法を学びたい
  • 枡田ゲーのファン

これらの項目についてはかなり高いレベルで内容が充実している本です。

ゲームプランナーを目指しているが、ゲームにするアイディアをどう考えればいいのか分からない・・・と悩んでいる方はぜひ手にとってみてください。

書籍情報

【書籍名】ゲームデザイン脳 枡田省治の発想とワザ
【著者名】枡田省治
【出版社】技術評論社
【出版日】2010年4月10日
【頁数】191頁
【目次】

1.みつける 着想/加工

日常の中の個人的な欲求
他人の欲求を探る
自分ならどう作るか?
父の死さえネタにする
ゲームにするはずが……
見込みがありそうなネタの選別方法
神経衰弱とババヌキの比較,藤子不二雄作品
ボリショイサーカスから学ぶ
1コインでできる分解の演習
たとえば百円ショップ

2.つくる 設計/調整

着想を企画書に落とす その①
システムでドラマを生成する
戦闘の意味づけ
着想を企画書に落とす その②
着想を企画書に落とす その③
未知なるものを体感させる
イメージを数字や式に落とす
ゲームにおけるシナリオの役割
キャラを立てる
珠玉のメッセージ
原因を探る ――調整作業――
欠点や失敗を活かす
失敗することについて

3.かんがえる 信条/哲学

テレビゲームとは何か? その① 初めてのテレビゲーム
テレビゲームとは何か? その② それは偶然か?
テレビゲームとは何か? その③ しょせんはゲームだ
テレビゲームとは何か? その④ 小説や調査との比較
思考のレッスン その① 幻の天外魔境Ⅲとハルカ
思考のレッスン その② 最近気になってるテーマ“揺らぎ”
思考のレッスン その③ 面白いと感じる戦闘の条件
遊びのルールを創造する

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